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医療マンガ辞典

Japanese Institute for Public Engagement



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検査 episode02


1. 検査の種類

ここでは感染症の臨床検査について学びますが、もちろん病院に行ったときにやる採血検査や心電図(しんでんず)、レントゲン撮影などの検査もとても大切です。感染を起こす原因には細菌や真菌(しんきん)などいろいろありますが、今回はウイルスについて学びましょう。



今、話題となっている検査、いくつ知ってますか?

注目の検査は3つ! 調べる「もと」が違います。

PCR検査・・・感染して増殖(ぞうしょく)したウイルスが持つ遺伝子(いでんし)【ゲノム】を調べる。
抗原検査(こうげんけんさ)・・・ウイルスがその遺伝子情報から作り出す抗原【タンパク質】を調べる。
抗体検査(こうたいけんさ)・・・感染を受けた人が体内で作る抗体【タンパク質】を調べる。


検査の結果わかること!

注目の検査は3つ! 調べる「もと」が違います。

PCR検査、抗原検査、→その人が感染したことがわかる。
抗体検査→過去に感染したウイルスなどに対する免疫(めんえき)として抗体が作られたことがわかる。



2. 検査の方法

まず、検査を受ける人の鼻や口の粘膜(ねんまく)を綿棒で拭ったり、唾液(だえき)を集めたり、また血液や尿などを少しだけもらいます。この、人から少しだけ取った粘膜や液体などは「検体(けんたい)」と呼びます。
検体は、そのまま検査機器【検体にウイルスが含まれているか調べる機械】にかけられるのではなく、きちんと測定できるように準備が必要です。


検体を調べる下準備!これが大切!

注目の検査は3つ! 調べる「もと」が違います。

不純物(ふじゅんぶつ)を取り除く。
希釈(きしゃく)【うすめること】する。
感染症の検査では培養(ばいよう)【ウイルスを増やすこと】をする。
遺伝子の検査では増幅【遺伝子の決まった部分をたくさんコピーすること】する。



検査を受ける場所も、検査方法によって保健所、病院、ドライブ・スルーの検査センターだったりといろいろです。



3. 検査結果

検査結果は、常に正確にでるとはかぎりません。ポイントとなるのは、『感度』と『特異度(とくいど)』です。感染症の検査でいうと、
『感度』・・・感染している人のうち、陽性と出る割合 [a/(a+c)]、
『特異度』・・・感染していない人のうち、陰性と出る割合 [d/(b+d)]、をいいます。

人数 感染している 感染していない 合計
検査結果が陽性 a b a + b
検査結果が陰性 c d c + d
感度 = a/ (a + c) 特異度 = d/ (b + d)

もちろん感度も特異度も高いほうが優れた検査だといえますが、いつもそういう検査ばかりではありません。実は感染しているのに検査結果が陰性(いんせい)だったり【偽陰性(ぎいんせい)といいます】、逆に感染していないのに検査結果が陽性だったりする【偽陽性(ぎようせい)といいます】場合もあり、注意が必要です。



偽陰性の人が注意したいこと

「自分は感染していない」と思って活発に行動し、他人を感染させてしまう。


偽陽性の人が注意したいこと!

「あの人は感染しているから避けたほうがいい」と思われてしまう。


検査を行うタイミングによって結果が変わることもあります。

感染症の場合、抗原や抗体の出現するスピードや、抗体も種類によって登場する時期が違い、個人差もあります。また抗体があるからといって、もう二度と感染しないとはいいきれませんが地域全体としてある程度の防御【集団感染の状態)】にはなるため、現在大規模な疫学調査(えきがくちょうさ)が行われています。


結果を解釈するには、測定した数値だけでなく、トータルとして考えるのが大切です。

症状【発熱や息切れ、だるさなど】
レントゲンやCTなどの画像所見(がぞうしょけん) など。



<まとめ>

検査の結果は時期によって変わる!症状に合わせて検査を受けよう!

今回はウイルス感染症と検査について話をしましたが、時期によって体調や検査値が変わるのは一般の病気も同じです。感染症からの回復をみるために検査を繰り返すように、他の病気でも、症状に合わせて検査を行うことが大切です。

検査の結果と実際の症状は違うことも!陽性の場合はしばらく観察しよう!

身近なウイルス感染症としては毎年流行するインフルエンザがありますが、今回の新型コロナウイルス感染症では、感染した人の症状と検査の結果にずれが見られることがあり、症状は軽くても急にひどくなって救急処置が必要になる人もあります。

検査の結果は無視しない!身近な人を守るためにも、自分の体に興味を持とう!

まずは検査を受けること、次に【検査結果がどちらであっても】注意深く自分自身の症状を見守ること、そして症状が変わったらすぐに医療機関(いりょうきかん)に相談することが大切です。せっかく検査を受けても結果を無視していると手遅れになってしまうこともあります。検査をしてくれる医療関係者も感染しないように重装備(じゅうそうび)で取り組んでもらう必要があり、検査は自分のためだけでなく、みんなを守るためにも大切です。


<参考となる情報>

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

厚生労働省「わかりやすい感染症Q&A」:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou16/01.html

首相官邸「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」:
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/index.html

日本臨床検査医学会「臨床検査の偽陽性と偽陰性について」:
https://jslm.org/committees/COVID-19/20200427.pdf

忽那賢志「抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける?」:
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200517-00178720/

積極的疫学調査:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-2.html


<画像など>

抗原検査:
https://mainichi.jp/articles/20200513/k00/00m/040/214000c、https://www.yomiuri.co.jp/national/20200513-OYT1T50172/

抗体検査:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59156100V10C20A5000000/

(図2):
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/100400036/051500009/

PCR検査・抗原検査・抗体検査(図1):
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/100400036/051500009/

抗体検査:
https://omiyaever.jp/新型コロナウイルス抗体(IgG&IgM)検査について

PCR検査:
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/gallery/1051549?ph=1



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